徳島の駅トイレ「外から丸見え」 地元で賛否も、JR四国を蝕む経費削減の毒 こんなになった“真犯人”は誰だ?

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JR四国の経費節約で、四国の駅が悲惨な状況になっている。無人駅がバス停やATMを思わせる姿に建て替えられる一方で、くみ取り式トイレは今も現役。これが駅のあるべき姿なのか。

JR四国と市町村、住民のスクラムが必要

JR四国の取り壊しに住民が反対運動を展開する阿波加茂駅(画像:高田泰)
JR四国の取り壊しに住民が反対運動を展開する阿波加茂駅(画像:高田泰)

 徹底した経費削減を図るJR四国の姿勢には、住民から賛否両論が上がっている。

 前述の勝瑞駅に近い徳島県北島町の飲食店主(63歳)は

「民間企業であっても列車運行は高い公共性を持つ。今のJR四国は公共交通としての役割を果たせていない」

と憤る。

 これに対し、高知県大豊町の元商店主(84歳)は

「経費削減のおかげで列車が走っている。通学の高校生や通院の高齢者を考えたら、少々の不便は覚悟しなければなるまい」

と擁護した。

 住民の意見がわかれるのは、駅舎の整備に対する市町村の対応も同じだ。駅舎の取得を見送った東みよし町、トイレ改修に消極的な藍住町の例がある一方で、愛媛県西予市は予讃線の卯之町駅を新築、高知県佐川町は土讃線の西佐川駅の譲渡を受け、観光団体の事務所などに利用している。

 土讃線と徳島線が乗り入れる阿波池田駅(徳島県三好市)で乗り換え客に話を聞いたところ、駅が公共の場所であることを理由に市町村が公金を投じることに賛成する声が多かったが、市町村の財政が悪化しているとして支出に反対する意見も出た。

 四国では人口減少と車社会の進行で列車の利用客だけでなく、駅に人が集うことも減った。駅舎内の売店は県庁所在地などの拠点駅以外で採算が合わなくなりつつあり、市町村が設けたふれあいスペースは閑古鳥が鳴く。

「四国の厳しい現実」

だ。

 駅舎の維持には、JR四国と沿線市町村、住民がスクラムを組まなければどうしようもないところまで来たのだろう。JR四国の苦境を知りながら、見て見ぬふりを続けてきたツケが、この状況に表れている。

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