徳島の駅トイレ「外から丸見え」 地元で賛否も、JR四国を蝕む経費削減の毒 こんなになった“真犯人”は誰だ?
交通系ICカードも使えない現実
JR四国は1987(昭和62)年の発足から1度も黒字にならないまま、利用客が減り続け、2020年に国土交通省から経営改善を指導された。しかも、運行する9路線すべてが赤字。このため、徹底した経費削減を続けている。JR四国は
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「今の施設は規模が過大。利用状況に応じてスリム化せざるを得ない」
と苦しい胸の内を打ち明けた。
しかし、利用者に影響が出ているのはトイレだけでない。JR四国の全259駅のうち、210駅(81%)が無人駅。1989(平成元)年度は169だっただけに、この30年余りで40以上増えた勘定だ。過去10年間に有人の20駅でみどりの窓口、無人の27駅で券売機が廃止された。
交通系ICカードや自動改札機も導入が遅れ、徳島県内は利用できる駅がない。
駅舎もバス停を思わせる簡素な施設に
無人駅の駅舎は相次いでアルミ製のバス停かATMのような簡素な施設に変わっている。老朽化で改築時期を迎えても、十分な予算を確保できないからだ。2014年度以降に建て替えられたのは、牟岐線の中田駅(小松島市中郷町)など16か所に上る。
中田駅の新しい駅舎は長さ5m余り、幅1.5mほどの狭い空間にベンチが置かれている。券売機はあるものの、完全な密閉空間でないため、雨の日はなかがびしょびしょになるという。
徳島線の阿波加茂駅(徳島県東みよし町)では、老朽化した駅舎の取り壊し計画が明らかになり、住民らが846人分の反対署名を東みよし町に提出した。東みよし町出身で奈良県在住の男性(58歳)は、オンライン署名サイトで反対署名を集めている。
JR四国から譲渡を受ければ駅舎を存続できるが、東みよし町は将来の解体費を考えて受けない意向。東みよし町産業課は
「トイレなどを町で整備し、簡素な駅にしないよう要望したい」
と語った。