日本の“EV普及”の本丸は「商用EV」拡大だ 軽貨物車という固有カテゴリー生かせ

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G7サミットのプレゼンテーションのなかに、日本が進むべき方向性を表明したある展示があった。トヨタ、ダイハツ、スズキの三社の共同開発による軽商用EVバンのプロトタイプのプレゼンテーションだ。

微増する日本のEV比率

軽バン(画像:写真AC)
軽バン(画像:写真AC)

 2023年5月、広島において先進7か国(G7)サミットが開催された。ここでは会議を通じてさまざまな取り決めおよびプレゼンテーションがなされた。そしてそのなかに、日本が進むべき方向性を表明したある展示があった。展示を行ったのは日本自動車工業会である。

 その展示とは、トヨタ、ダイハツ、スズキの三社の共同開発による軽商用EVバンのプロトタイプのプレゼンテーションだ。今回の展示に当たっては、トヨタの主導で日野といすゞの3社が提携した新会社であるCJPT(コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジー)によるプロジェクトの一環だった。

 日本の立場を先進諸外国にプレゼンテーションする場でもあるG7において、こうした展示が行われた理由とは何か。それは、

「国家としてのカーボンニュートラルに対する考え方」

をここで表明することが国益につながるとの判断ゆえである。

 こうした表明は、国家として昨今の国際情勢を考えればまっとうだろう。そしてそこに実車があれば、表明に対する説得力が増すのもさもありなん。さらにこのことには、国家的な戦略のほかに、もうひとつの側面もあったことに注意しなければならない。

 日本における電気自動車(EV)シフトへの動きは、諸外国と比較して鈍いとされている。国内登録されている車両全体に対するEVの割合はわずかだ。ただし、日本自動車販売協会連合会が取りまとめたデータによれば、近年になってようやく動きが見られるようになった。

 具体的には2020年以降というもの、新規登録されるEVの割合は当初の1%前後から2022年半ばまでには2%前後に。2022年末後半には3%を超え

「4%」

に達している。

 この数字にはバッテリー式電気自動車(BEV)のほかにプラグインハイブリッド車(PHEV)も含まれている。いずれにしても新車を購入しようとしている層の購買行動において、EVの存在感が高まる一方だというのは間違いない。

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