日本の“EV普及”の本丸は「商用EV」拡大だ 軽貨物車という固有カテゴリー生かせ
政府、商用EV普及加速のワケ

しかし、それでも新規登録される車両全体における4%である。既に国内の全登録車両におけるEV比率を
「20%前後」
までに高めているヨーロッパ各国には、とても届いていないというのも事実である。そこで新たに“政府主導によるEV普及のテコ入れ”として行われることとなったのが
「商用車のEV化促進」
だったと考えるとわかりやすい。
一方、ここで注意しておきたいのは、現時点で国家によるほかの商用EV普及支援策はないのかということである。実は今回のG7でのプレゼンテーション以前にも、経済産業省と国土交通省の連携事業として「商用車の電動化促進事業」なるプロジェクトが本年度の国家予算から135億9900万円を獲得。
・小口配送トラック
・軽貨物車
・タクシー
を中心にEV化を推し進めるべく、導入に当たっての補助金支援事業がスタートしている。
日本でのEV普及の遅れに対して、政府が新たに商用EVを通じてその普及を加速させようという考えには妥当性がある。理由は、EVは商用車。特に短距離小口貨物輸送で使われる車両においては、
「運用面でマッチしている」
という事実である。
こうした業務で使用される車両は、その多くが1日の総走行距離がほぼ決まっている。朝に事業所を出庫した後は規定のルートを走行し、業務を終えた後は帰庫するというルーティーンワークがほとんどである。
EVの運用において最も大きな懸念は走行中のいわゆる電欠だが、こうしたルーティーンワークが主であれば電欠の危険はほぼ回避できる。
充電は事業所に帰庫した後に翌日朝までに行えばそれで何の問題もない。充電設備は事業所に設置すれば、出先での急速充電の必要もない。すなわち
「ランニングコストの面でも有利」
であるということである。
先に挙げた経済産業省と国土交通省による商用EVへの補助金事業は、まさにこうした業態の特性を十分に考慮した上で決定されたものである。