「三菱新型アウトランダー」VS「トヨタRAV4」 マーケターの私が迷わず“三菱”に軍配を上げるワケ

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2022年度の三菱自動車の売上高は2兆4581億円、営業利益は1905億円で好決算だった。その背景には何があるのか。

従来車にあった大きな弱点

アウトドアのイメージ(画像:写真AC)
アウトドアのイメージ(画像:写真AC)

とはいえ、従来の三菱車には大きな弱点があった。重厚感はあるものの、

・乗り心地
・インテリアの質感

が、よい意味で実用車の域を出ていなかったのだ(ボディーデザインは好みがわかれるため、本稿では言及しない)。特に、初代アウトランダーPHEVはさまざまな部分をガソリン車から引き継いだこともあり、その印象が強かった。

 筆者(J.ハイド、マーケティングプランナー)は初代アウトランダーPHEVに何度か試乗したが、一定距離を完全に電動で走るということ以外のメリットを見いだすのは難しかった。

 例えば、通常サイズのスポーツタイプ多目的車(SUV)ならトランクルームに適度な大きさのポータブルバッテリーを積んでおけば、

「数泊のアウトドアライフは楽しめる」

と、価格差とメリットを冷静に考えたのが当時の記憶である。

 しかし、新型アウトランダーPHEVでその弱点は解消される。ドライバーシートに座れば、モダンで質感の高いインテリアや現代的でさまざまなインターフェースに目を奪われる。そして何より、容量アップしたバッテリーと燃料タンクにより、合計の航続距離は1000Kmを超えるスペックとなった。

 競合であるトヨタRAV4のPHEVモデルの航続距離は合計1300Kmにも及ぶものの、長距離ドライブになるほど、同車の

「急速充電未対応」

という仕様が、アウトランダーに比べて不安を感じてしまう。

試乗で体感した「乗り心地」

三菱自動車のロゴ。2020年1月22日撮影(画像:EPA=時事)
三菱自動車のロゴ。2020年1月22日撮影(画像:EPA=時事)

 実際に新型アウトランダーPHEVに試乗すると、さらに感心することがある。それは20in、255/45という幅広いタイヤを装着しながら、優雅に振る舞う上質な「乗り心地」である。

 SUV、PHEVは重くなりがちだが、それゆえに幅広のタイヤで踏ん張りが効くような基本設計が必要だ。一方で太く、重いタイヤは「バネ下重量」を増加させるため、乗り心地がバタバタとしたものになりやすい。

 しかし、新型のアウトランダーPHEVの乗り心地のよさは、最初からそのタイヤサイズを前提に開発していることが前提となっている。さらに、長年にわたる研究とユーザーからのフィードバックが見事に結実しているのだ。

 2016年から日産・ルノー連合がスタートし、新型アウトランダーには多くの日産との共通部品が採用されている。結果、これらがコストダウンにもつながり、販売台数に対する利益に貢献している。

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