次期戦闘機F-Xの国際共同開発にひそむ「固有リスク」 日本は1兆7000億円負担、予算膨張&開発遅延 過去の二の舞にならないか?

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航空自衛隊の次期戦闘機の共同開発が2022年12月に決定された。現時点ではイギリス、日本、イタリアの三国だが、スウェーデンもなんらかの形で作業に関わる可能性がある。今後の課題は何か。

英伊共同開発への参画

日英伊が共同開発する次期戦闘機のイメージCG(画像:防衛省)
日英伊が共同開発する次期戦闘機のイメージCG(画像:防衛省)

 航空自衛隊の次期戦闘機(F-X)は、イギリスおよびイタリアとの共同で開発されることが2022年12月に決定された。グローバル・コンバット・エア・プログラム(GCAP)と名付けられたこの計画は、もともとイギリスとイタリアが構想していたテンペスト計画に、日本が加わる形になったものだ。

 かつて、日本がF-2戦闘機を開発していた1990年代、

・イギリス
・ドイツ
・イタリア
・スペイン

の欧州諸国は、ユーロファイター・タイフーンを共同開発した。そのタイフーンの後継として構想された戦闘機がテンペスト計画であり、2018年7月のファンボロー航空ショーで披露されたコンセプト・モックアップは大きな話題を呼んだ。

 テンペストはいうまでもなくステルス戦闘機(レーダーによる探知が困難な戦闘機)だが、ネットワークによる無人機(UCAV)との連携や高度なデータ処理能力を備えた、いわゆる

「第6世代戦闘機」

の実現を目指すものであった。この構想が練られた同時期に、日本でもF-2後継のF-Xを国内開発する構想が模索されてきたが、これらが統合される形で生まれたのがGCAPである。

 現時点ではイギリス、日本、イタリアの三国による共同開発となっているが、スウェーデンも共同開発への参加合意をイギリスと取り交わしており、なんらかの形で作業に関わる可能性がある。

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