次期戦闘機F-Xの国際共同開発にひそむ「固有リスク」 日本は1兆7000億円負担、予算膨張&開発遅延 過去の二の舞にならないか?
開発の行方を左右する予算の問題

こうして問題になってくるのが開発費用である。
イギリスは最初の研究調査段階で20億ポンド(約3500億円)の支出を計画しているというが、これだけでも額面ではF-2戦闘機の開発費用に相当する。GCAP開発に投じるイギリスの支出は、トータルで100億ポンド(1兆7000億円)ほどを見込んでいる模様だ。イタリアは2022年度予算で2億2000万ユーロ(約330億円)、2034年までには更に38億ユーロ(約5700億円)を支出するともいわれており、これも相当な額である。
最近の情報では、イギリスと日本がそれぞれ開発費用の約40%、イタリアが約20%を負担するとも伝えられ、そのとおりなら日本も1兆7000億円程度を投じることになる。総額では4兆円規模の開発になるが、新世代戦闘機という事業の難しさを考えると、これでもまだ不十分だとする見方がある。
開発の中心を担うイギリスBAE社では、デジタル技術の活用で低コスト開発が可能だといっているが、これを真に受けるわけにはいかない。同じような謳い文句で始まったアメリカのジェット練習機T-7は現時点で
「約2年遅延」
しているし、費用の膨張が大問題になったF-35も、当初はデジタル技術による開発コスト低減を謳っていたのである。
スケジュールの遅延や費用の膨張は現代の戦闘機開発に付き物だが、共同開発ではパートナー国の事情による影響も大きい。イギリスでは既存戦闘機(タイフーンとF-35)のアップグレードも喫緊の課題であり、GCAPよりもコスト効率の高いUCAVの開発に転じるべきだとする意見もある。
今から悲観的なことばかり考えても仕方がないが、外国との費用分担を前提とした共同開発には特有のリスクがあり、タイフーンもF-35も多くの困難と戦いながら開発された歴史がある。日欧共同開発のGCAPにおいて、
・予算の膨張
・開発遅延
が繰り返されることだけは、あってほしくないものである。