ルノー日産、BMWをしのぐ勢い? トルコ初の国産EVメーカー「Togg」の秘めたるポテンシャル、年産100万台体制狙うエルドアンの鋭き目論見とは
エルドアン大統領が立ち上げたトルコ初の国産EVメーカー「Togg」。中国や米国などの新興EVメーカーとの競合もあるなかで、世界のEV市場でどのような発展を遂げていくのか。
市場での評価
いうまでもなく、Toggはまったく量産実績のない自動車メーカーだが、受注開始からわずか1か月の予約注文は17万7000台を突破した。
車両販売価格は95万3000トルコリラ(日本円で約700万円)からで、さほど廉価ではないのにもかかわらずかなりの注文が集まっており、Toggへの期待感の高まりを表している。
仮に17万7000台を年間販売台数に置き換えると、欧州市場でのEV販売実績(2022年)では、VW、テスラ、ステランティスに次ぐ第4位となり、現代・起亜、ルノー日産、BMWなどをしのぐ勢いだ。
直面する今後の課題
Toggは2023年中に年産2万台を達成し、2032年までには年産100万台体制を目標としているが、これまでのように順風満帆な事業拡大を遂げることができるのだろうか。
トルコの自動車市場は、欧州市場で
・新車販売:6位
・生産:5位
と健闘しているといえる一方で、EV市場は欧州で最も小さい規模で、2021年販売台数はわずか3000台足らず、EV販売シェアも0.5%にすぎない。
英調査会社LMC Automotiveは、2030年のトルコでのEV販売台数を30万台、EV販売シェア31%と予測しているが、今後の課題として、公共の充電ステーション普及率向上や欧州連合(EU)域内への輸出促進などが挙げられており、トルコ政府による優遇税制やインセンティブなどによる支援策が不可欠となる。