宅配便の「再配達有料化」で返品激増? ネットにはびこる間違いの数々、性悪説ばかりはイノベーションを阻む
筆者が先日書いた宅配便「再配達無料」に関する記事に寄せられた多くのコメントのなかから、批判的な指摘に対して回答する。
時間指定できないケース等の対応

最後の難題は、到着日時の指定が原理的に難しいケースへの対応だ。
アマゾン等で消費者自身が注文するときは、到着日時を指定する、「置き配」方法を指示するなどの対応がおおむね可能になっている。
問題は、お歳暮などのように他者に商品を送るようなケースである。このような場合は送り先の同意なしに日時や「置き配」の方法を指定することはできないからだ。
また、相手が仕事上の取引先などの場合、再配達料を負担させるのは避けたい心理が働くだろう。かといって「これからお歳暮を贈りますが……」と連絡するのも抵抗がある。
こういったケースを想定すると、確かに再配達を有料化するのはなかなか難しい。
しかしこのような問題は、新たな制度を導入するときに必ず生じる種類のトラブルだ。このような例外的なケースを持ち出して制度全体を否定するのは、
「事なかれ主義」
の日本社会にありがちな間違いである。
このケースでいえば、「お歳暮の場合は無料で再配達する」と例外を設けてもいいし、再配達料金を発送者に負担させることも可能だろう。解決可能なトラブルであれば、問題解決志向で向き合うべきである。
さまつなトラブルも許容できないのであれば、現状を変えることなど不可能としかいえない。