宅配便の「再配達有料化」で返品激増? ネットにはびこる間違いの数々、性悪説ばかりはイノベーションを阻む
筆者が先日書いた宅配便「再配達無料」に関する記事に寄せられた多くのコメントのなかから、批判的な指摘に対して回答する。
返品が激増することはない
ひとつめの論点は、返品増加の問題だ。
無料で再配達してくれないなら、多くの消費者は再配達の連絡をせず返品してしまうかもしれない。なぜなら、返品後に再注文すれば、再配達料金がかからず合理的であるから──というのが、返品が激増するという論拠だ。
確かに、返品を繰り返すような通販利用者もゼロとはいえない。しかし、そのようないわば、非常識な消費者が多数を占めると考えるのは、
「性悪説に偏りすぎた見方」
である。
世の中の大多数を占める常識的な消費者は、再配達が有料化し、かつ、そのコストを負担したくないのであれば、
・「置き配」にしてもらう
・自分で郵便局等まで取りに行く
といった手段を取るはずだ。
少額の再配達料金を負担するのを避けるために、あえて返品を繰り替えすような消費者がいるとしても、ごく少数にとどまるはずである。
ただ、この論点は日本の物流の抱える問題を反映している。というのも、声の大きいごく少数の顧客に過剰に配慮してしまい、不必要なサービスを提供してしまっている傾向があるためだ。
これは日本社会が抱える課題だが、
「過剰配慮の悪循環」
から抜け出すことが必要だ。