宅配便の「再配達有料化」で返品激増? ネットにはびこる間違いの数々、性悪説ばかりはイノベーションを阻む
筆者が先日書いた宅配便「再配達無料」に関する記事に寄せられた多くのコメントのなかから、批判的な指摘に対して回答する。
管理コスト増は問題にならない

次の論点は、宅配会社の管理コストの問題だ。
再配達を有料化するためには、一部の宅配会社が実施しているように、事前にメールを送信し、時間指定をしてもらうようなシステムを各社で導入する必要があるかもしれない。その場合、システム改修にはかなりのコストがかかる。
また、配達員が再配達料金を払ってもらう場面では、「時間通りに来なかった」などのトラブルも起きるかもしれない。その場合、顧客対応によるコスト増は避けられないだろう。これに加え、配達員が現金で再配達料金を収受することになれば、現金の管理に伴うさまざまな管理コストの発生も予想できる。
このように、再配達の有料化を導入することで、管理コストが増えることは予想可能である。
ただし当然のことながら、管理コストが増えること自体は問題ではない。問題は「管理コストの増加」と「再配達減少によるコスト減」とが釣り合うか(ペイするか)どうかだ。この点で、筆者は「全く問題ない」と判断する。
再配達有料化により、上記のとおり一時的にシステム費用が発生したり、顧客からのクレームが増えたりするかもしれないが、これはあくまで有料化が定着化するまでの一時的な費用だ。一方で輸送の効率化によるメリットは、定着した後、長期間にわって宅配会社の収益にプラスに寄与する。
実態として、宅配会社がこれまで「再配達の有料化」に踏み切れなかったのは、
「宅配会社同士のサービス競争が激しすぎた影響」
である。宅配大手が足並みをそろえる限り、コスト面が障壁になることは、まずあり得ない。