トヨタ・ダイムラー提携も、「対等性」に固執する必要なし? 今こそダイムラークライスラーの失敗に学ぶときだ

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日野と三菱ふそうの経営統合。そこに秘められた課題とは何か。

物流の主役であるトラック・バス

ダイムラートラック、三菱ふそう、日野、トヨタ 共同記者会見の様子(画像:トヨタ自動車)
ダイムラートラック、三菱ふそう、日野、トヨタ 共同記者会見の様子(画像:トヨタ自動車)

 5月30日、トヨタ自動車(以下、トヨタ)とダイムラー・トラック社との資本提携が発表された。

 子会社の日野自動車(以下、日野)と三菱ふそうトラック・バス(以下、MFTBC)二社の対等な経営統合も明らかとなった。

 物流と公共輸送の主役であるトラック・バスは世界の自動車CO2排出量の4割を占め、世界的には電動化による脱炭素化、欧州ではタイヤやブレーキの粉じんも含む低排出ガス化を迫られている。

 日本では慢性的な運転手不足に追い打ちをかけるように、「働き方改革関連法」が2024年4月に施行される。

ダイムラークライスラーの失敗

電動バス・トラックの登録台数は中国が独走する(画像:国際エネルギー機関)
電動バス・トラックの登録台数は中国が独走する(画像:国際エネルギー機関)

 現在、バッテリー式電気自動車(BEV)だけではなく、電動トラック・バスも中国が独走している。このような状況をふまえて、トヨタとダイムラー・トラックは

「水素をはじめCASE技術開発で協業し統合会社の競争力強化を支える」

と、MFTBCと日野は

「開発・生産など事業効率を上げ、日本の商用車メーカーの競争力を磨く」

とした。

 ところで、ダイムラー・トラックの親会社であったダイムラー(現在のメルセデス・ベンツ)は、1998年にクライスラーと合併したが、2007年には合併を解消している。

 ダイムラークライスラーの合併を分析した、ブラジルのサンタマリア連邦大学は報告書のなかで、権威主義的なドイツと平等を重んじるアメリカの「組織運営方針」の違いや、保守的なドイツとリスクに挑戦するアメリカの「技術開発文化」の衝突が失敗の要因、と述べる。

 今回は日本企業同士の経営統合だが、ダイムラークライスラーの失敗から学ぶべきことは多い。

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