横浜港「ロイヤルウイング」63年の歴史に幕 観光クルーズ船は“コロナ後”という名の大海を渡り切れるのか?

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クルーズレストラン船の「ロイヤルウイング」が運航を休止した。その影響と今後の展望が重要なワケとは。

後継船はサザンゆかりの船

マリーンルージュ(画像:写真AC)
マリーンルージュ(画像:写真AC)

 ちなみに1960年完成ゆえ、その船形は古い時代の客船を思わせるクラシカルなものだった。ゆえに昭和の時代を描いたドラマの撮影現場などにも重宝された船だった。近年のシャープなデザインの観光船とは一線を画する丸みを帯びた船体は、重厚かつどこか優しさを感じさせるものでもあった。

 ロイヤルウイングが運航休止を余儀なくされた理由、それは公式にはコロナ禍で集客が悪化したことと言われている。しかしその一方で、後継船の建造計画も発表されていることから、

「船自体の老朽化」

も理由のひとつだったに違いない。

 ロイヤルウイングなき後、横浜港のクルーズレストラン船はサザンオールスターズの名曲「LOVE AFFAIR 秘密のデート」の歌詞でも有名となった「マリーンルージュ」がロイヤルウイングの後継船が就航するまで一手に引き受けることとなる。東京港を母港とする大型のクルーズレストラン船としては「シンフォニー」があり、こちらも人気船である。

東京湾内の多種多様な観光船

水上バス(画像:写真AC)
水上バス(画像:写真AC)

 横浜港や東京港を抱える東京湾内は、周辺の河川も含めて実に多種多様な観光船を見られる。それらのなかでクルーズレストラン船はまぎれもなく花形中の花形だった。

 しかし、観光船はそれだけではない。漫画家の松本零士デザインで登場から現在まで人気を集めているいわゆる東京都の水上バスは、バスという名称でイメージされる公共交通機関というより、観光船としての存在の方が主であろう。

 さらに、一般的な観光クルーズ船とは雰囲気が全く異なるものの、気軽な宴会船である屋形船に至ってはもはや東京湾内の風物詩である。

 日本国内の主要な港は、東京港、横浜港、大阪港、神戸港など大都市と海の融合という意味では非常に風光明媚(めいび)である。加えて東京湾などはレインボーブリッジ、東京ゲートブリッジ、横浜ベイブリッジなどの特に名の通った橋も多くあり、そういった橋の下を船でくぐることも人気の観光名所となっている。

 一方、昨今人気を集めている観光クルーズに、夜間の工業地帯を海側から見るというナイトクルーズがある。これはさまざまな照明に彩られながら夜間操業中の大規模工場を間近に見るというもの。レストラン船や水上バスが日常の延長だとしたら、こちらはまさしく近未来SF映画を思わせる非日常な世界。今どきのフレーズを使うなら「映える」写真を撮影できる観光クルーズとしてその人気は高い。

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