上海モーターショーで全世界「EV転換」明らかに! ガラパゴス日本に迫る没落カウントダウン、マスコミ論調さえ大きく転換の辛らつ現実
日本はなぜこれほどまでに遅れたのか

EVの遅れの理由には、こうした日本全体を覆った「フィルターバブル」に加えて、トヨタと経済産業省が先導してきた水素への異常なこだわりもあるのではないか。
総合エネルギー効率で考えると、再エネ電力を直接動力にするEVの高い効率(投入電力を100%とした場合の推進力までの総合エネルギー効率が73%)に比べて、水素燃料電池(同22%)も水素燃焼エンジン(同13%)も著しくエネルギー効率が劣る。
その上、どこにでもある電力インフラと異なり、水素のサプライチェーンがほとんどないなどの問題もあり、急激に普及するEVとは対照的に、輸送燃料用の水素は世界中で市場が消えつつある。それにも関わらず、「世界のトヨタ」と呼ばれるグローバル企業が、EV化する世界の技術トレンドと現実に背を向けて強固に水素に固執しすぎたことは、組織論や政治学的には
「経路依存性」
「組織的な慣性」
と呼ばれる現象ではあるものの、あまりに変わった光景である。
既存の自動車産業は、化石燃料車を中心に製造から販売、利用まで壮大なるエコシステムが出来上がっているために、それを自らひっくり返すことに困難をともなう。中でもトヨタには、自ら開発したハイブリッド車で大成功したことによる
「イノベーションのジレンマ」(クレイトン・クリステンセン)
もあっただろう。
そのハイブリッド車では、EV車と同じようにバッテリーを長年用いてきた経験と自負を持っていたことから、「トヨタが本気になればいつでも追いつける」という「おごり」もあったのではないか。
そして、満を持して2022年発売したトヨタ「本気のEV」と銘打ったbZ4Xで、致命的な初期不良によるリコールを発生させた上に、EVの基本性能でも、コストパフォーマンスでも、車内外装でも、デジタル化でも、テスラや中国勢に見劣りして、ほとんど販売が伸びない状況だ。
その上に、テスラや上海モーターショーで中国車を見て、取り返しが付かないほど大きく引き離されていることに気づいたことが「上海ショック」の本当の深層なのではないか。