上海モーターショーで全世界「EV転換」明らかに! ガラパゴス日本に迫る没落カウントダウン、マスコミ論調さえ大きく転換の辛らつ現実
衝撃の数字

トヨタの佐藤恒治社長も自社のEV出遅れを認め、ホンダの三部敏宏社長も
「中国勢は相当、先を行っている」
と述べたのは、上海モーターショーで中国車の進化ぶりを目の当たりにしたことに加えて、直前に公表された2023年第1四半期の中国での自動車販売台数の衝撃だろう。
今や世界最大のEV市場となった中国は、この第1四半期は乗用車市場全体では前年比▲4.3%減・526万台と減少したが、EVなど新エネルギー車は26%増・159万台と、新車販売のシェアが30%(うちバッテリー式電気自動車〈BEV〉が73%)を越えた。
トヨタは前年同月比▲14.5%減の38万台、ホンダは同▲37.7%減の22万台、日産は同▲36.8%減の16万台、日本勢全体で▲31.9%減と壊滅的な状況が報告された。しかも中国では、一段と厳しい排ガス規制(国6b)を2023年7月に導入予定であり、日本勢の主力である化石燃料車(ICE)の需要減にさらなる追い打ちを掛けるだろう。三菱自動車は2022年12月に生産開始したばかりの現地工場の停止と巨額損失を計上し、中国市場からの撤退も囁(ささや)かれる。
落ち込んだのは日本勢だけではない。長く中国で王者として君臨してきたフォルクスワーゲンは、2023年の第1四半期に前年比▲14.5%減の43万台、ドイツ勢全体は▲8.9%減となった。そのほか、米国勢▲8.8%、韓国勢▲6.7%、フランス勢▲26.5%と海外勢が全て落ち込んだ。
ただし注意深く見ると、フォルクスワーゲンはEVの売り上げも前年比▲38%と落としており、BYDなど中国勢とテスラのEVに対する競争力を失っている。独アウディはプラグインハイブリッド車(PHEV)の撤退を発表した。
一方、中国勢は2022年3月にICEの生産を廃止してEVのみに絞った比亜迪(BYD。自ら生産する蓄電池でも寧徳時代新能源科技〈CATL)、LGエナジーソリューションに次ぐ世界3番手)が前年同期比93%増で初めてトップに立った。ICE生産を廃してもなおPHEVが多いBYDだが、BEVだけでもこの第1四半期に22万5000台とテスラの13万7000台(前年同期比26%増)を大きく上回った。
中国はEV生産の急拡大に伴って、自動車輸出でも日本を急追している。2022年、前年比54%増・311万台(約1割はテスラ上海製)を輸出した中国は、ドイツを抜いて世界第2位の自動車輸出国となり、首位の日本(381万台)に肉薄している。
さらにこの第1四半期は、EV化の追い風を受けて、前年比58.3%増の107万台を輸出しており、このペースで行けば、年内に日本を追い越して世界最大の自動車輸出国になる可能性がある。