ANA国内線システム障害 露呈した「高速移動サービス」という基本的価値の欠如、改めて問われる情報管理体制とは
4月3日午後、ANAの国内旅客データベースの一部が停止。結果、55便が欠航、153便が30分以上遅延した。今後同社に求められることとは。
便数が圧倒的に多い国内線

今回はミラーリングによって復旧速度を速められたが、これがなかったら、不具合の根本的な問題を発見するまでに長い時間がかかり、復旧はかなり遅れたことが予想される。
事実、根本的な原因の究明まではまだ至っていない。さらにいえば、鉄道におけるシステム障害では、発生時からかなりの年月がたってもまだ原因が判明していない事例もある。
国内線は国際線と異なり、便数が圧倒的に多く、昔からその取り扱いは情報技術の進展に支えられてきた。人手によって処理することは限界があるのだ。
情報化をいち早く進めた航空会社(アメリカン航空やユナイテッド航空)が後に市場を席巻した。
売りは「高速の移動サービス」

航空会社の最大の商品は座席であり、航空機が出発するまでに売り切らないと価値がゼロになる。よって、
「予約 = 在庫管理」
が航空会社の収入管理の上で極めて重要になる。
さらに近年は、空港業務の効率化・省力化のため、空港での業務一般も情報化を進める必要があった。コロナ禍による人員削減などで、現在は空港業務全般において特に人手不足の状態にあるのだ。
したがって、航空会社はその性質上、情報化を進める上でのリスクを背負わなければならない。
情報化にともなうシステム障害の問題は、航空会社に限ったことではない。原子力発電所では被害はけた違いだ。ただ、航空会社の国内線の場合、
「高速の移動サービス」
を売りとしていることから、障害による欠航や遅延への不満はそれだけ高くなり、社会的注目度を高めることになる。