カンタス航空の2025年「世界最長航空路線」は成功するか? エコノミー席で“20時間拘束”という非現実性、燃費パフォーマンスも大丈夫か
各国エアラインが狙う激戦区

さて、この路線は成功するのだろうか。筆者(加藤舞、海外旅行ライター)は
「おおむね成功する」
と予想する。2018年からカンタス航空は一足先に、パース~ロンドン線の運航を開始している。そちらが好調なことを受けて、今回のシドニー線の就航が決まったと考えられるからだ。
オーストラリアと英国は、歴史的にも経済的にもつながりが深く、地球のほぼ反対側という距離にもかかわらず、両国間の往来はとても盛んだ。
実際、その需要の高さを狙って英国の大手航空会社ヴァージンアトランティックや香港のキャセイパシフィック航空などを始め、2国間の中心に位置する中東の航空会社も多くの路線を投入している、いわば激戦区だ。
カンタス航空のシドニー~ロンドン線の経由地は、前述のパース、シンガポール、または2013年よりコードシェア(2社以上の航空会社によって飛行機を共同運航している便)を行っている中東のエミレーツ航空の本拠地、ドバイが主な選択肢である。
しかしどの経由地を選んでも23時間以上、乗り継ぎ時間を含めると長いものでは29時間かかり、決して楽なフライトとはいえない。それが今回の直行便で一気に約3時間の短縮となる。料金を多めに払っても、時間を有効に使いたいビジネス客にとっては大きな魅力になるだろう。
航空会社は自社で路線を完結でき、安定的な利用客の確保に成功すれば、より多くの利益が見込める。貨物輸送面でも直行便は大きなメリットだ。利用客は
・乗り換え
・空港での待ち時間
がないため、移動のストレスが少なく、時間も節約できる。また、
・欠航
・荷物トラブル
など、乗り換えにともなうストレスを避けられるのもメリットだ。
デメリットはチケット料金が高くなることだが、上記のような快適性が保障されるなら、航空会社にとっても利用客にとってもウィンウィンだろう。