JR北海道の「株」が、たったひとつの独立行政法人に占められている理由

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JR北海道の株式は独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構がその100%を所有している。いったいなぜか。

運用益バブルも崩壊

JR北海道のウェブサイト(画像:写真AC)
JR北海道のウェブサイト(画像:写真AC)

 さまざまな見方もあるが、上場を果たしたJR九州の場合、合理化と同時に鉄道以外の事業で収益をあげる構造にシフトしたことが、上場に成功の理由だった。

 対して、JR北海道が上場を目指してやったことは帳簿上の「経常黒字」を創り出すことだった。最初から、いつどうなるかならない優遇措置が存在することは大前提である。その上で、経営安定基金の運用益も大幅に見積もる。赤字を拡大させる人件費を減らすために採用数は減らし、設備投資も抑えるというのが、1990年代の同社の一貫した方針だった。

 こんな状況で上場しても景気の動向次第で破綻しそうだが、当時そうした危惧はあまり見られなかった。もっとも大きな収入源である基金の運用が経済情勢に左右されるマネーゲームなのに、である。

 その計算は次第に狂っていった。発足当初は498億円あった運用益バブルは崩壊、さらに北海道拓殖銀行破綻による金融危機で激減し、290億円台にまで目減りしている。

 それでも、黒字からの上場に固執していた当時の経営陣は鉄道利用促進に目を向けず、ただ帳簿が色よくみえることだけを考えていた。こうして本業である鉄道に予算を割かず、軽視した結果が、現在の相次ぐ廃線への下地をつくったのである。

 上場を目指した結果、ついに上場を果たせず現在に至るJR北海道。新幹線の札幌延伸後も、経営の先行きは不透明なままだ。もはや同社の上場が話題になることはない。

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