JR北海道の「株」が、たったひとつの独立行政法人に占められている理由

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JR北海道の株式は独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構がその100%を所有している。いったいなぜか。

「待った」をかけた運輸省

JR北海道の路線(画像:写真AC)
JR北海道の路線(画像:写真AC)

 ところが、運輸省(当時)は「待った」をかけた。数字上は黒字化しても不安要素が大きかったのだ。なぜなら、鉄道利用者の増加で運賃が増えているのではなかったのだ。

 同社の財務で重きを成していたのが経営安定基金である。経営安定基金は政府が民営化にあたり、経営基盤が脆弱(ぜいじゃく)な三島会社に交付した「持参金」で、鉄道の赤字を基金の運用益で補うものだった。

 1990年代前半、同社は基金6822億円のうち約半分を運輸施設整備事業団に年4.99%で貸し付け、残りの半分を自主運用し、営業赤字を補填していた。また、固定資産税などを軽減する税制特例措置で年間約30億円の経費を削減する優遇を受けていた。これによって、鉄道事業の収益が上がらなくても帳簿上の黒字化が達成できていたというわけである。

 しかし、上場の目標としている2001(平成13)年には事業団への貸し付けの金利も優遇措置も打ち切られる予定とされていた。ゆえに、事業で利益が上がっていないのに上場しても株価を保てないというのが運輸省の判断であった。

 運輸省が難色を示したことで、同社は2001年に上場を再び断念することとなった。このとき断念した理由について、同社は

「税軽減などの優遇措置が不透明」

としている。事業で収益があがっていないのに優遇措置頼りで完全民営化を達成しようとする、かなり奇妙な方針を立てていたことがわかる。

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