H3ロケット失敗で影響? 宇宙から「違法盛り土」を監視する実証実験、その先進的な取り組みをご存じか

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不適切な盛り土が全国で次々と明らかになった。そこで静岡県は、新年度から盛り土発見のための新手法の実証実験に乗り出す。使用するのは、フランスやイタリアの人工衛星だ。

使用されるのは光学衛星画像

230224_hthree_01.jpg,組み立て棟から発射地点へと移動し、打ち上げを待つ新型ロケット「H3」試験機1号機=2月16日午後、鹿児島県・種子島宇宙センター(画像:時事)
230224_hthree_01.jpg,組み立て棟から発射地点へと移動し、打ち上げを待つ新型ロケット「H3」試験機1号機=2月16日午後、鹿児島県・種子島宇宙センター(画像:時事)

 前述の静岡県による衛星画像を使って行われる実証実験の調査範囲は、不適切な盛り土の造成が多い富士山麓の約900平方キロメートルだ。

 当初は、H3ロケットに搭載されていた人工衛星「だいち3号」が撮影した光学衛星画像も使用される見込みだったが、打ち上げ失敗にともない、当面の間はフランスやイタリアの人工衛星からの画像が使用されるようだ。

 具体的にどの衛星の画像を使用するのか、詳細は明らかになっていないが、例えばフランスの地球観測衛星「プレアデス」は、撮影直下の観測幅20km、地上分解能(解像度)50cmのデータを取得できる。高度によって解像度を自在に変えられる航空機には劣るものの、大規模な盛り土造成を捉えるには十分すぎるデータだといえるだろう。

 県は、対象地域が撮影された画像を年に約4回購入し、人工知能も駆使して土地の形状などが変化した場所を抽出するという。

 森林の伐採など、盛り土造成が疑われるような箇所があれば、監視カメラを設置したり、周辺のパトロールを強化したりする。2023年度の当初予算案には、事業費として2000万円を計上。実証実験で有効性が確認できれば、対象範囲の拡大や撮影の頻度を増加するとしている。

 筆者(もりあやこ、調査測量系ライター)も各種画像解析の経験があるが、大規模盛り土造成の解析に衛星画像を使用することは、航空機を使うよりも

「現実的で効率的」

だと思われる。

 ゆくゆくは全県、全土にわたって監視を行うことになると考えると、時間もコストもかかり、天候に左右される航空機調査は現実的ではないからだ。監視対象が明らかになり、ある程度の面積をもっと詳細に調査したいとなって初めて、航空機の使用を選択肢に入れるのが妥当だろう。

 盛り土造成は、

「発見して終わり」

ではない。いかに早く点検や対策を講じるかが重要だ。異常気象が増えるとともに、全国で次々と違法な盛り土が明らかになっているいまだからこそ、この新手法の解析結果に期待が寄せられる。

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