H3ロケット失敗で影響? 宇宙から「違法盛り土」を監視する実証実験、その先進的な取り組みをご存じか
これまでに考案された三つの手法

「1」の合成開口レーダー(SAR)とは、電波の一種であるマイクロ波を発射し、地表から跳ね返ってきたマイクロ波を捉えるセンサーだ。
マイクロ波の強度は、森林から跳ね返ると大きく、草地では中程度、水面などつるつるした面では電波が反射してしまうために小さくなる。この強度に色付けして画像化し、二時期比較(観測時期の違う2枚の画像の比較)をすることによって、「森林があった場所が砂地になった」というように、地表面の変化を捉えられる。
曇りでも夜でもデータが取得できるという利点はある一方で、解析がかなり複雑で熟練を要するのが欠点だ。
「2」の数値標高モデル(DEM)は、主に小型飛行機やヘリコプターに搭載したレーザー機器などを使って、地表面の標高を計測したもの。二時期の高さ比較をすることによって、土地の変化を分析することができる。
国土地理院では、全国の数値標高モデルを整備しており、無料でダウンロードすることも可能だ。小型飛行機やヘリコプターでの調査は高度が低いため、数cm単位で土地の変化を検知できる利点がある。しかし、調査のたびに飛行機などを飛ばすとなるとコストがかさみ、頻繁に実施することは困難だとも考えられる。
一方、「3」の光学衛星画像の解析は、人工衛星が撮影した二時期の画像を比較する方法だ。欠点としては、通常の写真と同様に平面のデータであるため、森林が伐採されているのが色の変化でわかっても、そこが砂地になっただけなのか、砂が盛られているのかの判断が難しい点が挙げられる。
しかし比較的解析が簡単で、写真を見るように感覚的に扱えることを考えると、光学画像は現地調査の大きな助けになるとも予想できる。2023年度に実証実験として行われる静岡県の盛り土監視にも、この光学衛星画像を使用した方法が採用されることになっている。