エックス線で手荷物検査! 鉄道に「飛行機なみのテロ対策」を導入したヨーロッパの深刻事情
近年は日本でも、鉄道でのテロ事件への警戒が強まっているが、海外の事情はどうなのだろうか。ヨーロッパ各国の対策を紹介する。
日本でも対策強化

過去数十年の歴史の中で、少なくとも海外ではテロ事件がたびたび発生してきた。ニュースでも報じられ、私たち日本人も話としては知っていたが、それはどこか知らない、遠く離れた別の国の話で、自分たちの住む世界とは関係ないと感じていたのではないだろうか。
もちろん日本赤軍による事件など、日本もテロと全く無縁というわけではなかったが、実際に自分たちの身近に発生しているというよりは、やはりどこか現実離れしている感じがあったと思う。
しかし、オウム真理教による地下鉄サリン事件が状況を一変させた。都内の地下鉄各路線の車内に猛毒のサリンを散布し、多くの死傷者を出す大惨事となった。おそらく、多くの日本人にテロの恐怖を植え付けた事件として、この先永遠に語り継がれることになるだろうが、そのテロの標的となったのが地下鉄だった。
その後、鉄道におけるこれほどの大規模なテロ事件は発生してないものの、車内で可燃性の液体に火を放つ行為や、凶器を振り回し周囲の人間へ襲いかかるといった事件が何度か発生している。テロ事件ではないが、2015年に発生した、走行中の東海道新幹線車内における男性の焼身自殺は、危険物の列車内への持ち込みに対するチェック体制の脆弱(ぜいじゃく)性を露呈することになった。
非日常の出来事として、予告もなく突然発生するテロは気を付けようにも避けるすべがなく、いつ巻き込まれるかも分からない。特に鉄道はその性質上、比較的無防備なところがあることから標的にされることが多く、対策が急務とされてきた。最近は日本でも、車内への監視カメラ設置など、できる限りの対策が進められている。
では、日本以上にテロ事件の発生率が高い外国では、どのような対策が採られているのだろうか。ヨーロッパ各国の様子を紹介していこう。