エックス線で手荷物検査! 鉄道に「飛行機なみのテロ対策」を導入したヨーロッパの深刻事情

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近年は日本でも、鉄道でのテロ事件への警戒が強まっているが、海外の事情はどうなのだろうか。ヨーロッパ各国の対策を紹介する。

兵士が銃携え警戒する駅も

パリ東駅で警戒に当たる警備員(左)。パリの駅では銃を構えた兵士の姿も見かける(画像:橋爪智之)
パリ東駅で警戒に当たる警備員(左)。パリの駅では銃を構えた兵士の姿も見かける(画像:橋爪智之)

 なお2000年代に入ってから、アルカイーダやイスラム国(IS)といったイスラム過激派によるテロ事件が目立つようになったことで、エックス線による乗車前の手荷物検査は、フランスのパリと周辺各国との間を結ぶ高速列車タリスでも行われるようになった。

 中には、ヨーロッパ各国の主要駅にエックス線検査導入を求める声も聞かれるが、前述の通り、あまりにセキュリティー対策を強化しすぎると、鉄道本来の魅力でもある「街の中心から気軽に乗れる」という長所が薄れてしまうため、これ以上の導入には消極的となっている。もちろん、日本の新幹線にこうした検査を導入することがまず不可能ということは、言うまでもないことだろう。

 そうなると、あとは人海戦術となる。最近は主要駅構内や新幹線車内でも、運行中は常に警備員が巡回して目を光らせているが、これは犯罪抑止にもつながるし、乗客たちにも安心感を与える。

 ヨーロッパでも、列車内や駅構内に警備員を巡回させている鉄道会社がある。イタリアでは、高速列車フレッチャロッサを筆頭に、優等列車車内で警備員の姿を見かける。先ほど紹介した高速列車タリスは、かつて、銃を持ったテロリストが襲撃直前に取り押さえられる未遂事件があったこともあり、今も厳重な警備が行われている。パリの各駅では、3人一組でV字型に陣形を組んだ兵士が、銃を手に歩いている姿を見かける。

 テロ対策というのは一筋縄ではいかないし、この世からテロやそれに類する不測の事態を完全排除することは難しい。各鉄道会社は、でき得る最大限の防止策を採ったうえで、その都度対処するほかないのが実情のようだ。

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