新幹線完成後は「在来線 → 第三セクター」が日本の現状も、ヨーロッパは違った! なぜしっかり維持できているのか

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整備新幹線が開通したら、並行在来線はJRから経営分離され、大半が第三セクターに移行するのが日本の現状だ。だが、ヨーロッパは違う。なぜ、並行在来線を維持できるのか、解説する。

相互乗り入れで在来線活用も

高速新線と在来線をうまく活用して地方都市の高速化に貢献したイタリアの高速列車フレッチャルジェント(画像:橋爪智之)
高速新線と在来線をうまく活用して地方都市の高速化に貢献したイタリアの高速列車フレッチャルジェント(画像:橋爪智之)

 在来線を維持するメリットもある。そのひとつは、事故や災害が発生した際の代替ルート確保だ。ヨーロッパは、在来線と高速列車の車体規格や線路幅が同じであるため、ターミナル駅では同じ線路やホームを共用するなど、相互に乗り入れることが可能となっている。この利点を生かし、例えば途中区間で列車が事故などにより立ち往生しても、後続列車は途中区間に設けられた在来線と高速新線を結ぶインターチェンジを利用して、在来線へ迂回(うかい)させることが可能なのだ。

 もうひとつは地方都市の速達化だ。前述のインターチェンジをうまく活用することで、大幅に所要時間が短縮された都市もある。イタリアの地方都市モデナは、2008年12月にミラノ~ボローニャ間の高速新線が開業した後も、在来線を経由する特急インターシティしか停車せず、ミラノまで1時間50分以上かかっていた。

 しかし、地元からの要望で、2019年12月から高速新線を経由する高速列車フレッチャルジェントが運行を開始。わずか1時間15分足らずと大幅な所要時間短縮を実現した。高速新線と在来線を連絡するインターチェンジを通ることで、部分的に高速新線を経由、30分以上もの時間短縮に成功したのだ。日本の新幹線では、中間にいくつもの途中駅を設けることで沿線住民の要望に応える形だが、イタリアの場合は、高速列車が並行する在来線へ乗り入れ、利用客を拾うという形を採った。

 線路幅や車体規格が同じというだけではなく、ヨーロッパではこうしたさまざまな理由があって、今も在来線がそのまま維持されているのだ。

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