新幹線完成後は「在来線 → 第三セクター」が日本の現状も、ヨーロッパは違った! なぜしっかり維持できているのか

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整備新幹線が開通したら、並行在来線はJRから経営分離され、大半が第三セクターに移行するのが日本の現状だ。だが、ヨーロッパは違う。なぜ、並行在来線を維持できるのか、解説する。

上下分離方式のヨーロッパ

幹線を走行する貨物列車。貨物輸送は旅客輸送と共にヨーロッパの経済を支える重要な役割を持つ(画像:橋爪智之)
幹線を走行する貨物列車。貨物輸送は旅客輸送と共にヨーロッパの経済を支える重要な役割を持つ(画像:橋爪智之)

 まず知っておきたいことは、ヨーロッパも多くの国で国鉄は民営化されているが、日本のような「地域分離方式」ではなく、列車の運行を担う運行会社と、線路や駅などの地上設備を維持管理するインフラ会社に分ける「上下分離方式」を採用していることだ。上下分離の場合、実際に列車を運行する会社は、地上設備の一切に関わりを持つことはなく、列車の運行本数や距離などに応じて定められた線路使用料をインフラ会社へ支払うだけだ。

 列車の運行はもちろん、線路や駅、信号など地上設備の維持管理に至るまですべてを自社で担い、それを乗客からの運賃など自前の収入だけで原則賄わなければならないJRとは、この点が大きく異なる。

 ヨーロッパの場合、各国の地上設備は、基本的に全てひとつのインフラ会社が受け持っており、しかもほとんどの国のインフラ会社は政府もしくはそれに準じた公的機関であるため、高速新線が開業したからといって、並行する在来線が廃止になったり別会社へ移行したりすることはあり得ない。

 では、日本のように、高速新線の開業によって並行在来線の収益が悪化、維持管理が困難にならないのか、という疑問が湧くだろう。旅客輸送の面で言えば、確かに都市間輸送のほぼすべては高速列車へ移ってしまい、在来線を経由する列車は、地方の市町村へ行くわずかな人しか利用しなくなってしまうだろう。

 だがヨーロッパの場合、旅客輸送だけが収入源となっているわけではなく、多くの貨物列車が走っている。世界では環境問題に関する意識が高まり、モーダルシフト促進が声高に叫ばれる世の中になったが、実態は進んでいると言われているヨーロッパでさえ、その達成率は18%にとどまる。さらなる増発のためには線路容量を増やすことが必須で、高速新線の建設は、優等列車をそちらへ移すことで貨物列車へ線路を明け渡す、という事情もある。

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