木くずや微細藻類がジェット燃料に 国産の「持続可能な航空燃料」を使った定期便フライト成功
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が主導する取り組みの一環として、持続可能な代替航空燃料(SAF)を使いJAL・ANAの定期便が運航された。SAFは、木くずや微細藻類が原料に使われている。
JAL・ANAの国内線定期便にSAFを搭載
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)は2021年6月18日(金)、木くずや微細藻類から製造したバイオジェット燃料を、JAL(日本航空)とANA(全日空)の国内線定期便に供給したと発表した。
温室効果ガスの排出量を削減する手段の一つとして、持続可能な代替航空燃料(Sustainable Aviation Fuel:SAF)の導入が検討されている。
NEDOは、こうした背景のもとSAFの商用化を視野に、原料となる木くずの調達と微細藻類の培養から純バイオジェット燃料まで一貫製造する体制の実証と、航空機への給油までを含めたサプライチェーンを具体化させることを目指し、2017年度から「バイオジェット燃料生産技術開発事業」を進めている。
木くずを原料とした燃料の開発・生産は、三菱パワー、JERA、東洋エンジニアリング、宇宙航空研究開発機構(JAXA)に委託。固体の木質セルロースをガス化した後に液体燃料を合成するガス化FT合成技術により製造したもので、既存の化石燃料(JET A-1)と混合したSAFは、3月に国際規格である「ASTM D7566 Annex1」に適合することが確認された。
微細藻類を原料とした燃料の開発・生産は、IHIに委託。微細藻類(高速増殖型ボツリオコッカスHGBb)由来の油を精製する水素化精製技術により製造したもので、この燃料も既存の化石燃料(JET A-1)と混合したSAFが4月、「ASTM D7566 Annex7」に適合することが確認された。