EVが運転禁止? 昨年大騒ぎになった、スイス驚異の「節電対策」とは
昨年、スイス連邦評議会で検討されていた電力不足に対する条例の草案が物議を醸し出していた。いったいなぜか。
4段階に分かれている節電対策
もちろんこの条例は、幅広い分野において電気などのエネルギー使用量削減を訴えており、EVをやり玉に挙げているのではない。節電内容は、エネルギー需給の逼迫状況により4段階に分類されており、意外にも細かく制限されている。その一部を紹介してみよう。
●ステップ1:比較的軽度な制限
人が出入りしていない建物や階の暖房を最低レベルに下げる。23時から5時まで広告モニターなどの停止。家庭用洗濯機の水温を40℃以下にする。仕事場以外で技術的に可能な場合は、100ルクスを超える照明の使用禁止。
●ステップ2:制限の幅が拡大
家庭用および業務用冷蔵庫・冷凍庫の温度を-19℃以下に下げない。ディスコやクラブハウスは、暖房を最低レベルに落とすか切るかする。ストリーミングサービスでのハイデフィニション(HD)放送禁止。ショーウインドーや店舗の看板照明の消灯。
●ステップ3:娯楽やスポーツの制限
EVの買い物や病院などの必要不可欠な理由以外の使用禁止。サウナやスチームバス、マッサージチェアなど電気を使用するウェルネス施設の営業時間を1日あたり7時間以内に制限。ビデオ、DVD、ブルーレイ機器、ゲーム機など娯楽機器の使用禁止。
●ステップ4:娯楽施設の制限
スポーツ施設、レジャー・アミューズメントパークに加え、文化施設、劇場や映画館などの閉鎖。
このように、EVの使用禁止が登場するのは、ステップ3からである。専門家によると、
「スイス国内にある約11万台のEVが影響を受けるのではないか」
という試算もある。また、EVだけではないものの、省エネの観点から高速道路での制限速度を100km/hにするといった内容も含まれている。