トヨタ名車ベスト10を選ぶとき、トラック「トヨエース」が絶対外せないワケ

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日本における「自家用貨物自動車」の歴史を振り返るとき、トヨタ・トヨエースを避けては通れない。それまで主流だったオート三輪に引導を渡した、革新的小型トラックだからだ。

戦後に普及したのは安価なオート三輪

トヨエースSK10(画像:守山進)
トヨエースSK10(画像:守山進)

 わがニッポンにおける「自家用貨物自動車」の歴史は、太平洋戦争前の時代においては昭和10年代からの、ともに積載量1トン以下の「オート三輪」と「小型トラック」がそれなりに普及した。

 トラックはもっと積載量が大きな車両もそれなりに普及していたが、自家用にはやや負担が大きかったことは否めない。

 戦前のオート三輪といえばマツダを筆頭にイワサキやダイハツが、小型トラックはダットサンやオオタが主要な生産メーカーであり、ともに比較的裕福な個人経営商店や農家などのもとでそれなりの活躍をしたはずである。

 一方、戦後はというと、小型トラックがそれなりに生産され供給された一方で、オート三輪が大量生産に伴う価格の引き下げとともに、大々的に普及していくこととなった。

 もちろん昭和20年代から30年代にかけての日本では、自家用車などまだまだぜいたく品ではあったものの、商売さえ順調にいっていれば、こうした「仕事の足」を導入することは決して無理なことではなくなっていた。

 さらにオート三輪が好まれた背景には、オート三輪には荷台長の規制がなく、長尺物の運搬に適していたこと。舗装率が低かった当時の日本の道路での安定性が高かったこと。三輪ゆえに小回りが効いたこと。「自動三輪」免許は16才から取得できたことなどが挙げられた。

 しかしオート三輪には欠点も少なくなかった。

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