トヨタ名車ベスト10を選ぶとき、トラック「トヨエース」が絶対外せないワケ
日本における「自家用貨物自動車」の歴史を振り返るとき、トヨタ・トヨエースを避けては通れない。それまで主流だったオート三輪に引導を渡した、革新的小型トラックだからだ。
昭和31年、ニックネームを一般公募
トヨペットSKBは、プレス加工を最小限に抑えたシンプルなデザインのボディや、可能な限り簡素なものとした標準装備品などによって、価格をオート三輪並みに抑えることに成功。
価格が同レベルであれば、より快適な運転環境を多くの人が求めるのは当然の市場原理であり、瞬く間に人気モデルの座を駆け上がっていくこととなる。
このローコストでタフ、そして使い勝手の良い小型四輪トラックの登場は、それまでオート三輪を使っていた人々の心を四輪に向ける上で、大きく作用したことは想像に難くない。
もちろん、材木屋や家具屋といったオート三輪ならではの長尺ボディ&小回りが効くなどのメリットが重要だった仕事は別だったが、そうした仕事環境は特に重要ではなかった職種の人々にとって、オート三輪の単気筒やVツインの騒々しい空冷エンジンよりは、新しいトヨペットの静かでスムーズな水冷4気筒エンジンの方が快適だったろう。
くどいようではあるが、水冷エンジンゆえヒーターが良く効いたこともあって寒い地域では特に重宝がられたといっていい。
発売開始から2年目の1956(昭和31)年、トヨペットSKBライトトラックは、そのニックネームを一般公募した。そうして決まった名前が「トヨエース」だった。
ここからのモデルは、型式をSKBからSK10へと変更し、トヨエースにニックネームとともにその後も市場でのヒットモデルの座に君臨する。