日本国民は財務省の「ATM」なのか? 消えた自賠責積立金6000億円、4月からの「保険料値下げ」にも騙されるな
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財務省に頭が上がらない政権

さかのぼれば1994(平成6)年、財政難のために自動車損害賠償保障事業特別会計(当時)を大臣間合意で一般会計に繰り入れたのがことの発端である。
80年代にも繰り入れは行われたが返済されている。90年代の繰り入れも順調に返済されたが「2000年までの完済」という約束そのものは果たされなかった、
そして小泉純一郎内閣による規制緩和政策によって政府再保険制度が廃止、ここから返済の歯車が狂い始める。谷垣禎一財務大臣と石原伸晃国土交通大臣との間で新たに返済の覚書が交わされたが、それからしばらく、先にも触れた通り15年間返されることはなかった。
2010年には民主党政権となり、菅直人内閣は野田佳彦財務相と馬淵澄夫国交相とで2017年度までの返済も改めて約束されたが、これも守られることはなかった。この賦課金の値上げに共産党とれいわ以外の与野党が賛成に回ったのは当然で、自民党も民主党も約束したのに6000億円を返さなかったからである。つまるところ、
「誰も財務省に頭が上がらない」
のだ。はっきり言って不健全な国である。
財務省という立場なら、国民の積み立てたお金を6000億円借りたまま、22世紀だ23世紀だの返済状態がまかり通ってしまう国である。それも一般財源を盾に内訳の詳細もない。6000億円は何に使われているのか、国民に「消えた6000億円」と言われるのも仕方のない話だ。
本年度から自賠責保険料そのものは値下げ(見込み)となる。しかし肝心の6000億円は完済されないどころか、このままなら最短でも22世紀まで借りたままとなる。自賠責保険は強制保険であり、私たちは払わざるをえない。そしてその使い道は本来、被害者の保護や救済、事故の防止対策、救急医療の整備であり、私たち国民のための大切な積立金だ。間違っても
「財務省の便利なATM」
ではない。いわゆる「消えた年金」の二の舞いにならないためにも、この財務省が借りたままの6000億円、これからも国民は決して見過ごしてはならない。