日本国民は財務省の「ATM」なのか? 消えた自賠責積立金6000億円、4月からの「保険料値下げ」にも騙されるな

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結局、2022年も財務省は日本国民の自賠責保険の積立金6000億円を完済しなかった。

約15年で底をつく積立金

自動車(画像:写真AC)
自動車(画像:写真AC)

 結局、2022年も財務省は日本国民の自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の積立金6000億円を完済しなかった。

 それどころか年末も押し迫った12月16日、損害保険各社による損害保険料率算出機構は突然、2023年4月分からの「保険料値下げ」の見通しを発表した。2021年以来2年ぶりである。同じく2023年4月分から値上げとなる賦課金150円(最大)と相殺しても、ユーザーには差し引きで保険料が値下げとなる。一見、いいことのように思える。

 しかし改めて考えてみる。今回の保険料の値下げは損害保険料率算出機構による算出で交通事故の減少、自動ブレーキなどの安全技術の進化によるものだが、自賠責保険の積立金は減る一方で、

「約15年で底をつく」

計算である。

 もちろん、自賠責保険料の内訳は

・純保険料
・付加保険料

であり、純保険料の中に保険金と純賦課金、付加保険料に付加賦課金、損害調査費、営業費、代理店手数料という構成であり、純賦課金と付加賦課金が交通被害者支援などの政府保障事業に当てられることはわかる。それを一緒くたにして「即、自賠責の危機」とまでは言わない。財務省と損害保険各社の関係もまた、勘ぐるつもりはない。

 しかしそれらを踏まえても、やはり6000億円を

「財務省が耳をそろえて返さない理由」

にはならない。

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