搾取される運送会社! 下請けの約半数が「運賃値下げ」を経験、必要なのは規制強化か、さらなる緩和か
道路貨物運送業への「買いたたき」は約半数の企業に及んでおり、全業種中最低だった。解決の術はあるのか。
下請けの約半数「買いたたき」受け入れ
先日、公正取引委員会が、下請け事業者への「買いたたき」に関する調査結果を公表した。これによると、道路貨物運送業では「おおむね転嫁を受け入れている」と回答した企業の割合が48.4%にとどまり、全業種中最低だった。
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この調査を見るまでもなく、運送業界は燃料費高騰により厳しい状況に置かれているにも関わらず、価格転嫁がまったく進んでいないのは周知の事実だ。
ここまで追い込まれているなかでも、なぜまだ買いたたきが止まらないのか、というのが本稿のテーマだ。
規制緩和で急増したトラック会社
市場経済下では「価格は需給で決まる」というのが基本だ。その意味で運賃低迷の原因として忘れてはならないのは、規制緩和で運送会社が激増したという事実だ。
よく知られているとおり、かつて運送業は免許制で、国から免許を取得しないと事業を始めることはできなかった。ところが90年代以降の規制緩和ブームにより、参入規制の大幅な緩和が進んだ。
その結果、運送業は「5台以上のトラック、駐車場を用意する」といった一定の条件を満たしさえすれば、誰でも始められるようになった。その結果、企業数はなんと
「1.5倍」
へと激増した。
この規制緩和が進んだ90年代中盤は、バブル崩壊で経済が最悪だった時期にあたり、物流量は大きく減少していた。その間に運送会社を大きく増やしたのだから、その結果は火を見るより明らかなとおり、運賃とドライバー給与が急速に低下することになった。
なお、最近では関係者の尽力もあって運送業の規制はやや強化される方向にある。とは言うものの、企業数が減るほどの強い効果は生じていない。