搾取される運送会社! 下請けの約半数が「運賃値下げ」を経験、必要なのは規制強化か、さらなる緩和か
インフレなのに運賃が上がらない現実

さて、周知のとおり、このところインフレ傾向が強まっており、身近な商品の価格がどんどん上昇している。
一方、統計を見ると、値上がりしているのは主に輸入品や、資源・原材料価格に連動する商品であり、サービス価格はほとんど上がっていない。
通常、インフレ下ではサービス価格の上昇を通じて人件費も上昇するのが通例だが、足元ではむしろ、サービス価格にはコスト削減圧力が掛かっている。運賃の買いたたきという問題も、このような大きな社会的文脈のなかで捉えるべき問題である。
本来なら燃料費などの輸送原価が上昇し、かつ、ドライバーが不足している状況であれば、市場原理を通じて価格の調整が起きるのが経済学の常識である。
つまり、本当の意味で規制緩和が行われ、自由競争が実現できているのであれば、運賃は上がっているはずだが、そうなっていない。
規制緩和した米国では運賃上昇

例えば米国の場合、運送業の主たる担い手は「ひとり親方」のオーナードライバーであり、その参入規制は日本と比べても極めて緩い。
その結果、米国ではトラックの季節的な需給によって運賃が大きく上下している。一方、日本では依然として
・5台以上のトラックが必要
・運行管理者の設置が必要
といったさまざまな規制を残しているのに、運賃は上がらないままである。
もちろん運送業の進むべき道はひとつではない。きちんと規制したうえで労働者の権利を守るという方向もあれば、米国のように規制緩和で自由競争を徹底するという方向もあるだろう。
しかしながら日本の現状はというと、このどちらともいえず、
「中途半端な規制で労働者も守られず」
「かといって自由競争も実現できない」
という中途半端な状態である。
運賃が上がらないという問題の背景にはこのような中途半端さがあり、その点を改善しない限りは生産性の向上も、賃金の向上も実現できないのではないだろうか。