「運送料を保障せよ」 韓国のトラック運転手が怒りのストライキ突入も、日本ではワンマン社長におびえる社員たち 今こそ「物流 = 国家の血流」の認識を

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世界的なインフレ、コロナ禍、ウクライナ侵攻などの影響により、各国で運輸関連のストライキが多発している。隣国・韓国ではトラック運転手たちによるストライキが再燃し、再び韓国経済に影響を与えようとしている。

各国の運輸関連でスト相次ぐ

シャルル・ド・ゴール空港(画像:写真AC)
シャルル・ド・ゴール空港(画像:写真AC)

 しかし今回、韓国政府は折れる姿勢を見せず、尹錫悦(ユン・ソギョル)政権は2004年以来の「業務開始命令」を発動した。首相の韓悳洙(ハン・ドクス)は「運送拒否や運送妨害は許さない。あらゆる措置を講じる」とした。また12月1日には、韓国国防部が国土交通部の要請があればとして韓国軍の派遣にも言及した。

 2022年に入り、運輸業界に携わる労働者の連帯は韓国に限らない。米国でも9月、貨物鉄道を中心に鉄道会社と従業員組合の一部とが労使交渉で決裂した。鉄道各社は一部商品の輸送を中止する緊急措置を顧客に通達していたが、これは交渉により暫定合意の上で回避された。しかし12月に入り、再び一部の労組が労働協約改定案を拒否した。米鉄道協会(AAR)によれば、万が一にもストライキが始まれば1日あたりの損失は

「20億ドル(約2800億円)超」

と予想している。

 イギリスでも、6月の鉄道ストライキではおよそ1億ポンド(約169億円)の経済損失が推計される事態となった。また港湾関係でも8月、イギリス最大のフィーリックストウ港の港湾労働者が、インフレ率に応じた賃上げを求めてストライキを起こした。雇用主側は5%の賃上げを提示したが、インフレ率は約11%(当時)だったので「これは賃下げと同じ」としてストライキを決行した。

 このストライキは9月から10月にかけても行われ、リバプール港でも同様の事態となった。幸か不幸かエリザベス女王の死去と葬式で一部が延期されたが、これが永続的に続くとなれば、コンテナの輸入と輸出の半分以上が停止すると予想される事態となった。

 フランスでもシャルル・ド・ゴール空港が6月にインフレ率を考慮した一律300ユーロの賃上げを求めて空港従業員がストライキに突入、各地の空港に波及してオルリー空港やマリニャーヌ空港なども追随した。

 ベルギーでも6月にインフレによる物価高に対して7万人がデモを決行、電車やバスの運休、ブリュッセル空港の職員がストライキに入り、出発便と、到着便のほとんどがキャンセルとなった。またオランダでも8月、オランダ鉄道がストライキに突入、これまた断続的に続いている。

 どの国も、世界的なインフレにコロナ禍とロシアによるウクライナ侵攻という資源不足と人手不足、労働環境の悪化が重なり、賃金アップが物価高に追いつかない状況に陥ったことに端を発する、各国の運輸関連のストライキだった。

 日本もまた各国同様に、トラックドライバーを始めとする物流関係者に対する待遇の改善はもちろん、物価高に対する賃金アップを求めるべきとする関係者の意見もあるが、実際にはこうした大規模なストライキは行われていない。

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