静岡県の「3D都市」が実に胸熱! ヘリコプターで空間情報を計測、しかもオープンデータときたもんだ
先進的な静岡県の3Dデータ
海から山、都市部まで、全ての地物を3次元(3D)データ化し、誰でも自由に使えるようにした県がある。
それが、静岡県の「VIRTUAL SHIZUOKA(バーチャル・シズオカ)」構想だ。このデータ、当初は災害対応やインフラ工事を想定して整備されたものだったが、誰でも入手できることが功を奏し、今や観光やゲームなど幅広い分野に利用されている。
例えば、空間情報事業を手掛ける朝日航洋(東京都江東区)が作成した「富士山コンテンツ」。同コンテンツは、VIRTUAL SHIZUOKAのオープンデータに自社ヘリコプターから撮影した空撮映像を追加したもので、リンクをクリックするだけでパソコン上に富士山が現れ、回して見られる。
パソコンでもスマートフォンでも閲覧可能なので、まずは3Dデータがどのようなものなのかをぜひ体感してほしい。そして、見終わったらぜひこのページに戻ってきて続きを読んでいただきたい。
三つのモビリティがタッグ
VIRTUAL SHIZUOKAでは、市街地から森林、水中まで、あらゆる場所のデータをダウンロードできる。この広大なデータの作成には、
・小型飛行機
・ヘリコプター
・自動車
に取り付けたレーザースキャナーが使用されている。
飛行機やヘリコプターは一度に広範囲を計測できるため、効率がよい。しかし、あくまでも表層のデータしか捉えられないため、例えば
・アーケードに覆われた道路
・トンネル内の様子
は計測できない。一方、自動車は、道路標識など人に近い目線のデータを計測できるが、広範囲の計測には不向きだ。
このような各モビリティの利点を生かして効率よくデータを取得し、欠点を補い合う形でデータが統合され、提供されている。
こうして作成されたデータをダウンロードし、モニター上でズームインしていくと、色がついた点々の集まりだということに気づく。これは、3次元点群データと呼ばれるもので、一点一点が緯度・経度・標高の位置情報を持っているため、距離を測ったり、特別な処理なく点群を地図上に表示したりすることが可能だ。この利便性が、データの活用範囲を広げ、いっそう価値のあるものにしているといえる。