静岡県の「3D都市」が実に胸熱! ヘリコプターで空間情報を計測、しかもオープンデータときたもんだ
静岡県は、海から山、都市部まで、全ての地物を3Dデータ化し、誰でも自由に使えるようにした。そのインパクトとは。
オープン化がもたらした利用先

VIRTUAL SHIZUOKAの点群データの活用シーンは、多岐にわたる。冒頭にも述べた通り、当初は災害対応やインフラ工事を想定して整備された。実際に景観シミュレーションや、津波浸水域の想定など、市民の暮らしを守る目的でも利用されている。
2021年7月に熱海市で発生した大規模土石流災害では、VIRTUAL SHIZUOKAの点群データを使って行われた地形の分析が、盛り土の存在を突き止めるきっかけになったという。静岡県は南海トラフ巨大地震の発生リスクが高いこともあり、県建設政策課は
「明日起こるかもしれない災害に備え、点群データを蓄積しておくことは重要」
としている。
正直いって、これだけでは、他府県でも行われているようないわば「普通の」点群データの利活用法だが、静岡県が面白いのは、VIRTUAL SHIZUOKAがオープンデータであるがゆえに民間利用が進み、活用範囲が大きく広がったからだ。
例えば、アジア航測(東京都新宿区)が提供している「釣りドコ」だ。色分けされた海底地形から魚が釣れるスポットを把握したり、釣果ポイントを釣り仲間と共有したりできるもので、アプリ内で表示される海底地形には、VIRTUAL SHIZUOKAのデータが使用されている。
このほか、熱海の点群データを変換して作られたマインクラフトも大きな話題を呼んだ。マインクラフトとは、立方体のブロックを設置して建造物などを作るゲームだ。マインクラフトで作成された熱海は、街並みだけでなく、森林部分も詳細に再現されている。県の担当者は、
「仮想空間の中にバーチャル静岡のデータを使って自ら理想の街を作る、という子どもたちが現れたらうれしい」
とコメントしている。