「バス利用者 = 低所得者」のイメージを大転換! ベトナム初の電気バス会社「ビンバス」の巧みな企業戦略に迫る

キーワード :
, , , ,
ビンバスは2021年4月に正式に運行を開始したベトナム初のスマート電気バス会社だ。同社サービスの優位性について解説する。

ベトナム初のスマート電気バス会社

ビンバス(画像:VinBus)
ビンバス(画像:VinBus)

 ベトナム初のスマート電気バス会社・VinBus(ビンバス)は2019年4月に設立され、2021年4月に正式に運行を開始した。

 ビンバスは、ベトナム最大のコングロマリット企業(多種類の事業を営む複合企業)であるビングループの非営利子会社で、同グループの国産自動車メーカー・ビンファスト製の電気バスを運行している。

 バスは現在、

・ハノイ市(首都)
・ハイフォン市(北部)
・ホーチミン市(南部)

の3都市で運行しており、ベトナム初のゼロエミッション公共交通機関として国内で注目を集めている。

ベトナムのバス事情

ベトナムの一般的な路線バス(画像:TRANSERCO)
ベトナムの一般的な路線バス(画像:TRANSERCO)

 ビンバスが注目を集めている背景には、ベトナムのバス事情が大きく関係している。ベトナムは、日本のように公共交通網が発達しておらず、大都市のハノイ市やホーチミン市でもバイク移動が主流だ。

 都市部では都市鉄道の建設が進められているが、今現在、公共交通の中心的役割を果たすのは路線バスである。しかし、その路線バスの交通分担率は、首都のハノイ市でもわずか12%と、825万人の人口(2020年時点)を抱える大都市としては低い。東南アジアのほかの主要都市と比べても、タイ・バンコクが43%(2015年)、シンガポールが28%(2012年)と、ハノイ市のバスの交通分担率の低さが伺える。

 一因として、

・バス路線ネットワークの不便性
・運行管理体制の未整備
・十分な運賃収入の未確保

といった現状が挙げられる。

 ベトナムのバス利用者のほぼ半数は無所得者であり、社会政策の一環として、路線バスは低廉な均一運賃(7000ベトナムドン、約40円)で運行されている。よって、運賃収入では必要経費を補えず、経費の57%をハノイ市人民委員会からの補助金で補っている状況なのだ。

 このような事情を抱えるベトナムバス業界に、2022年上半期決算で日本円にして約1897億円の連結売上高を誇るビングループのグループ企業が参入したという点は、かなり画期的だと言える。