鉄道・高速道路を「1日使い放題1000円」にしたら、旅行需要は甦るか? ドイツ成功事例にみる全国民を巻き込んだ一大施策とは

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ドイツで行われた社会実験「9ユーロチケット」は大きなインパクトを与えたか、同じことは日本でも行えるか。

8月末で終了した9ユーロチケット

高速道路(画像:写真AC)
高速道路(画像:写真AC)

 ドイツで6月から8月末までの間、全国各地の鉄道、地下鉄、バスなどの公共交通機関が乗り放題となる9ユーロチケット施策が実施された。チケットの値段は、1か月9ユーロ(約1200円)であり、実施期間中(3か月)は、たったの27ユーロで公共交通機関が自由に利用できた。

 この施策の目的は、高騰するエネルギー価格やインフレに対する救済措置、および公共交通機関利用促進による気候変動対策にあった。また、施策の実施に際し、25億ユーロ(約3500億円)が投入された。

 ドイツの交通事業者の全国的な組織であるドイツ交通事業者連合(VDV)によると、期間中5200万枚のチケットが売れ、かつ1000万人の定期利用者が自動的に割引チケットを受け取ったとのことだ。単純計算では、

「1か月あたり約2000万人」

が、9ユーロチケットの恩恵を受け、毎月ドイツ国民の4分の1(人口約8319万人:2020年9月、ドイツ連邦統計庁)が利用したことになる。

 この破格の公共交通機関利用チケットは、世界的に類を見ない壮大な社会実験ともいえるような施策だったが、いったいどのような効果があったのだろうか。

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