静岡「リニア問題」いまだ解決せず! 川勝知事の憤怒の裏にあった、JR東海からの長き冷遇の過去
リニア中央新幹線を建設する必要性
中央新幹線は、東京(品川)~大阪(新大阪)に至る新幹線の整備計画路線だ。だが、整備新幹線(全国新幹線鉄道整備法に基づき,1973年に整備計画が決定された新幹線)ではない。日本政府による整備計画の正式名称は「中央新幹線」である。新幹線では、初の超電導リニアを採用することから、JR東海が開設した解説ウェブサイトやマスコミ報道などでは、「リニア中央新幹線」という通称でも呼ばれている。
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バブル期には東海道新幹線の輸送量が急伸し、近い将来に輸送力が逼迫すると考えられた。そこで中央新幹線が注目され、リニア方式での建設を前提として、JR東海による建設促進運動や沿線自治体による誘致運動が展開された。
沿線の各駅からは、東京や大阪へ1時間以内で到達できることから、首都機能移転議論のきっかけのひとつにもなった。また建設理由としては、山陽新幹線が阪神大震災で長期間不通になった経験から、
1.東海道新幹線は東南海地震の予想被災地域を通過するため、代替路線が必要である
2.東海道新幹線の老朽化により、長期運休を伴う改築工事の必要が生じる可能性がある
といったことも。
代替ルートの整備は不可欠だ。東南海沖地震が発生した際、浜名湖付近が壊滅的な打撃を受けると予想される以外、新丹那トンネル付近も丹那断層があるため、大きな被害が出ると予想されている。
東海道新幹線も開業から58年が経過しているため、今後は長期間運休させてリフレッシュ工事を行う必要があるだけでなく、時間帯や季節によっては、慢性的に混雑しているため、バイパスルートの整備は必要だ。
パイパスルートを整備する場合、従来の鉄車輪で走行する従来型の新幹線を推す声もあった。JR東海は955形新幹線高速試験電車を開発し、1995(平成7)年から7年間にわたり走行試験を実施した。JR東日本は、E5系電車を開発して2013年3月から最高速度320km/hで営業運転を実施しており、従来型の新幹線であれば山陽新幹線への直通や、東海道新幹線との共通運用も可能だ。