個人が宅配を始めても「ドライバー不足」は全然解消しない! そもそも「運送 = 宅配」は完全な間違いだった

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トラックドライバー不足や宅配業界の苦労は広く一般の人々にも知られるようになった。その反面、物流に関する誤った認識も広がっている。宅配だけで運送を語ることは、誤解の最たるものである。

モノはどのように運ばれてきたのか

物流のイメージ(画像:写真AC)
物流のイメージ(画像:写真AC)

「運送イコール宅配」なる考え方に対し、長々と数字を示しながら否定してきたのだが、これは当たり前のことを、わざわざ小難しく論証しただけである。

「運送イコール宅配」と考える人は、自分の身の回りを眺め、なぜ、物流が社会の血脈と呼ばれるのかを考えてほしい。

 あなたの部屋に今あるものは、ECで購入されたものばかりではないはずだ。それをお店まで運んだのは宅配便ではなく、一般貨物を運ぶトラックである可能性が高い。

 Amazonで購入した製品にしても、Amazonフルフィルメントセンター(Amazonの物流センター)まで製品を輸送するのは、ほとんどが宅配便ではないトラックであろう。

 今あなたがいるオフィスや自宅などの建物の建材を運んできたのも宅配便ではないし、私たちに毎日の食事を提供してくれる、スーパーやコンビニなどに食材を運ぶのも宅配便ではない。

 ECや、メルカリなどの個人間取引(CtoC)などの活況により注目を集め、また身近なために目につきやすい宅配ではあるが、宅配も所詮数ある物流のひとつにしか過ぎない。

 製品を構成する部品や原材料を運ぶ調達物流。調達物流を含む、製品の生産から消費者の元へ届けるまでの一連の物流を担う動脈物流。製品の返品(返品物流)や産業廃棄物の回収、リサイクルなどを担う静脈物流――など、物流は、経済に実態を与える血脈として、私たちの生活のありとあらゆるところに存在するのだ。

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