個人が宅配を始めても「ドライバー不足」は全然解消しない! そもそも「運送 = 宅配」は完全な間違いだった
トラックドライバー不足や宅配業界の苦労は広く一般の人々にも知られるようになった。その反面、物流に関する誤った認識も広がっている。宅配だけで運送を語ることは、誤解の最たるものである。
運送業界は中小企業の集合体
従業員数も見てみよう。
ヤマト運輸(19万1172人)、佐川急便(5万6206人)、日本郵便(19万1702人)の従業員数を足すと43万9080人。対して、道路貨物運送業の総就業者数は199万人である(2021年)。
つまり、運送業の総就業者数の約2割が、ヤマト・佐川・日本郵便という宅配便事業者で占められていることとなる。
少ない数ではないが、宅配便上位3社の従業員が全員宅配便事業に従事しているわけではない。また逆に、ヤマト・佐川・日本郵便の3社の下請けとして、宅配便を取り扱っている中小運送会社も存在することは付記しておこう。
ちなみに日本の運送会社は、7割が従業員20人以下であり、従業員数が1001人以上の会社は、0.1%(79社)しかない。中小企業の巨大な集合体、それが運送業界なのだ。
車両種別の割合が表すもの
「Uber Eats同様、個人が宅配に参入できる仕組みを作り上げれば、ドライバー不足問題はすぐに解決する」と主張する人の中には、
「個人宅への宅配ドライバーが、個人に置き換われば、今まで宅配を担っていたドライバーが、一般貨物ドライバーへと転じるから、ドライバー不足が解消する」
と主張する人もいる。
この考え方には運転免許の視点が欠けている。
営業ナンバーを取得しているトラックは、2020年度で149万2015台。それぞれの割合は、以下の通りだ。
・大型自動車:40.5%
・中型自動車:21.9%
・準中型自動車:20.9%
・普通自動車:5.52%
・トレーラー:11.28%
ちなみに上記には、軽貨物自動車は含まれていない。