個人が宅配を始めても「ドライバー不足」は全然解消しない! そもそも「運送 = 宅配」は完全な間違いだった

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トラックドライバー不足や宅配業界の苦労は広く一般の人々にも知られるようになった。その反面、物流に関する誤った認識も広がっている。宅配だけで運送を語ることは、誤解の最たるものである。

個人宅向けの宅配は数%程度?

(絶対にありえないのだが)仮に、2020年度、トラックで輸送された宅配48億3548万個の宅配がすべて30kgだとすると、宅配貨物の年間輸送総重量は、1億4506万トンになる。一方で、同じく2020年度にトラックで輸送された貨物総重量は、37億8700万トンである。

 単純に重量比で考えると、航空貨物を除いたトラック輸送による宅配便の重量比は、最大でも3.8%に過ぎない。

 ちなみに、2015年10月20日~23日に実施された全国貨物純流動調査(物流センサス)の3日間調査では、個人宅向け宅配の割合は、重量比で0.05%、件数比で5.8%である。

データが古い上(最新調査が行われた2021年の調査結果はまだ公表されていない)、物流センサスが基本BtoBの物流を追跡する調査なので、あくまで参考として捉えてほしい。

 いずれにせよ、国内貨物の流通量を見れば、宅配というのは運送のごく一部でしかないのだ。

大手3社で94.8%を占める宅配便

大手企業による宅配のイメージ(画像:写真AC)
大手企業による宅配のイメージ(画像:写真AC)

 宅配便は、最大手の「宅急便」(ヤマト運輸 46.6%)、「飛脚宅配便」(佐川急便 28.0%)、「ゆうパック」(日本郵便 20.2%)の3社で、94.8%を占めている(全て2021年度実績)。

 余談だが、宅配便のことを宅急便と言う人がいるが、宅急便は商品名である。ジブリの人気アニメ映画「魔女の宅急便」は、ヤマト運輸がスポンサーについたから、「魔女の宅”配”便」ではなく、宅急便の名前を冠している。

ただし、「クロネコヤマトだから黒猫が登場したのか!」というのは間違いで、原作にも黒猫は登場している。

 ちなみに、国内の運送会社数は、2021年時点で6万2844社である。

 運送イコール宅配と勘違いしている人は、たった3社で94.8%のシェアを持つ宅配だけを運送ビジネスとみなし、残り6万社以上の運送会社における事業活動に対し、見て見ぬふりをしていることになる。

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