T型フォード、実は「中古車の元祖」だった! 大衆車の代名詞が遺した偉大なる功績とは

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労働者が購入できる大衆車の元祖といわれるT型フォード。このモデルはそれだけでなく、多数の中古車が全世界で流通するという大きな功績も残している。

中古車にもふさわしい構造と丈夫さ

 市場に大量の中古車が流通し出すと、今度はクルマの再利用という新たなビジネスが芽生えた。

 何しろ台数だけは山ほどあった上に、構造はシンプルで丈夫。部品も中古から新品まで豊富に流通していた上に、少々の経験があれば誰でも容易に分解・組み立てができた。正しく中古車として好ましい存在だったというわけである。

 T型フォードを改造したバスやタクシー、行商や配達用のコマーシャルバン、軽便なピックアップトラックなどは定番であり、シャシー周りと駆動系を強化したモデルTT(トラックシャシー)をベースにした消防車、小さなコンクリートミキサー車やレッカー車なども作られるようになった。

 変わり種としては、T型もしくはTT型用の農業トラクターアタッチメントや雪上車アタッチメントなども、中古車市場向けの社外品として数社からリリースされた。

 エンジン単体さえも、農作業や工事現場などでポンプやコンプレッサー、発電機などを駆動するための汎用エンジンとして重宝された。

 もうひとつ、忘れていけないのはT型フォードの中古シャシーと中古エンジンは、黎明(れいめい)期のモータースポーツにおける「素材」として重宝されたという事実である。

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