自動車業界に長く勤めた私が「自動運転の車」に断じて乗りたくない3つの理由

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近年、加速度的に進化を遂げる自動運転技術。しかし、自動車業界に長年従事してきた筆者は自動運転車に乗りたくないという。いったいなぜか。

自動車の大きなリスク

2021年7月以降に報告を受けたレベル3~5のADと、レベル2のADASの事故データ(画像:米国運輸省道路交通安全局)
2021年7月以降に報告を受けたレベル3~5のADと、レベル2のADASの事故データ(画像:米国運輸省道路交通安全局)

 自動車業界に長年従事してきた筆者(北河定保、自動車ジャーナリスト)は技術革新を積極的に支持するし、ADASの採用拡大は大歓迎だが、はっきり言って自動運転車に乗りたくない。次に三つの理由を述べる。

 第1の理由は「予測できない外乱」の多さだ。外乱とは、動作を乱す外部からの要因を指す。車が走る道路は交差し、信号機がない交差点も多い。そして車線変更は自由だ。路上駐車や道路沿いからの合流もある。横断歩道は至るところにあり、横断歩道外での横断もある。自転車は路肩を走る。このように鉄道、航空と船舶に比べて外乱が圧倒的に多いのだ。

 鉄道は専用軌道しか走らない。新幹線(専用軌道)や山手線(2029年に踏切全廃予定)のように踏切を無くし、ホームドアを完備(工事中の渋谷・新宿以外は設置済み)すれば外乱はさらに減る。航空機は自由に飛べるわけではなく、航空路が定められ、空港近辺ではレーダーで監視している管制官の指示に従わなければならない。主な外乱は、雷雨や下降気流などの気象条件だ。

 第2の理由は「車のドライバーはアマチュア」であることだ。車の運転には免許が必要とはいえ、個人によって運転技能、安全意識と順法精神の差が激しい。運転前に飲酒や薬物の検査はなく、定年もない。安全意識と順法精神が高く、厳しい訓練を受けた鉄道や航空、船舶の職業運転士との差は大きい。ADが故障したとき、ペーパードライバーは適切に対応できるのだろうか。

 第3の理由は「必要性」の少なさだ。鉄道や航空、船舶の運転は高度に専門的な職業だが、少子化が進めば、事業に必要な人数が確保できなくなる可能性が高い。移動中に仕事や睡眠がしたければ、車ではなく、公共交通機関を使ったほうがいい。追突や踏み間違い防止など、ADASの装着義務化のほうが必要性が高い。

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