「原油高」で米国の日本車シェアが上がる? 日米の新車販売を左右する要因とは何か

キーワード :
,
日本国内の自動車の売れ行きを示す経済指標では、「新車新規登録・届け出台数」が最も一般的だが、米国では何なのだろうか。

日本では半導体供給が販売を左右

自動車(画像:写真AC)
自動車(画像:写真AC)

 国内の自動車の売れ行きを示す経済指標として、最も一般的なのは「新車新規登録・届け出台数」である。

 新車新規登録・届け出台数とは、日本自動車販売協会連合会が公表する排気量660cc超の登録車と、全国軽自動車協会連合会が公表する軽自動車の販売台数を集計したものだ。自動車の販売状況を見る上での基礎統計になる。また、新車の販売台数(登録車ベース)を車種、メーカー別に集計しており、1か月間の販売台数が翌月の第1営業日に判明するという速報性がある。

 自動車購入費が個人消費全体に占める比率は4%程度しかない。しかし、自動車は住宅と同様、関連産業の裾野が広く、生産誘発効果が大きい。

 国内の自動車の需要を左右する要因には、まず賃金などの所得要因がある。景気がよく可処分所得が増えると、自動車も買い替えやすくなる。自動車の購入に伴ってローンを組む場合には先々の支払いも気になるため、自動車の需要は景気動向の見通しに大きく左右される。

 また、消費税率の引き上げなど政府の政策によっても影響される。このため、年次や月次の統計のブレが大きくなる。例えば、2019年10月以降の新車登録台数は前月から大きく落ち込んだ。これは消費税率引き上げによって、2019年9月までに駆け込みで乗用車を買い替える動きが広まったためである。

 さらに、自動車の買い替えサイクルが到来すると、自動車の販売台数を押し上げるという特性がある。内閣府「消費動向調査(2022年3月調査)」によれば、乗用車新車の平均使用年数は「8.9年」になっている。2000年代以降には、所得が減少していたにもかかわらず自動車購入が堅調に推移した。これは1997(平成9)年度の消費税引き上げ前に乗用車が駆け込みで購入され、その買い替え時機が到来していたことが一因といわれる。

 なお、2022年7月の新車登録台数(軽自動車含む)は前年同月比で7%減になった。しかし季節調整値では、上海ロックダウンに伴う部品不足の緩和により、国内生産が回復し始めたことで前月から改善した。足元では、自動車以外の産業向けの半導体需要が減速している。このため、自動車向け用半導体の供給の回復が見込まれることから、国内生産が正常化に向かうことで年末に向けて国内の新車販売は拡大が見込まれる。

全てのコメントを見る