自動車「国内減産」は経済にどのくらいダメージを与えるのか? 10%ダウンで驚きの結果に

キーワード :
, ,
国内自動車生産の縮小を通じて、国内企業の生産を押し下げることが懸念されている。

部品不足による自動車減産

自動車のイメージ
自動車のイメージ

 国内の自動車産業に危機感が強まっている。世界的な半導体不足やウクライナ戦争の影響を受け、各自動車メーカーは減産を余儀なくされているためだ。輸出立国である日本経済をけん引する自動車産業に打撃が及べば、他の産業にも波及し、国内経済の屋台骨を揺るがすことになる。

 事実、コロナショック前までのわが国の自動車産業は、日本経済をけん引してきた。先進国の経済が比較的好調だったことに加え、新興国の持ち直しが輸送用機械の輸出を促進させ、名目国内総生産(GDP)における輸送用機械産業のシェアは高水準を維持してきた。

 こうしたなか、世界経済が減速するなかで世界的な大型商品である自動車の生産や出荷販売が低迷を続ければ、個人消費のみならず、

・生産工場等の設備投資
・海外への輸出

などの減少を通じて、日本の景気回復の足を引っ張ることになる。

 そして、自動車部品をはじめとする鉄鋼、ガラス、電子部品などの関連産業を中心に悪影響をもたらすことが懸念される。

最も裾野の広い自動車産業

生産誘発係数上位10部門(画像:総務省)
生産誘発係数上位10部門(画像:総務省)

 コロナショック前の2019年、日本国内では833万台の乗用車が生産されたが、コロナショックに伴う部品のボトルネックなどで各社が減産に踏み切ったことにより、2020年以降の国内乗用車生産台数は700万台を割っている。

 特に、自動車部品をはじめとして、鉄鋼、ガラス、電子部品などの関連産業が多い。裾野の広い自動車産業は、関連産業の生産も減少させ、いわゆる経済波及効果が大きくなる。そのため、ウクライナ戦争の影響により自動車各社が減産継続を余儀なくされれば、国内での自動車生産の縮小を通じて国内企業の生産を押し下げることが懸念される。

 総務省の産業連関表(2015年)に基づけば、乗用車に対する需要額が1単位増加すると、関連産業も含めた生産額が2.73単位増えることになり、二輪自動車の2.68単位、鉄鋼製品や事務用品、畜産食料品などの2.57単位に比べて、生産誘発効果が大きいことが分かる。

全てのコメントを見る