ヨーロッパの空港が大ピンチ! 相次ぐ運航中止とストライキ、さらに人員不足で「カオス状態」に
職員不足・運航中止とまさにカオス

ここまでの行列ができる理由のひとつに、空港職員の不足が挙げられている。特に、搭乗検査の要員と航空機の荷物を積み下ろす要員が不足している。
また、不足しているのは地上職員だけではない。パイロットを含めた機内スタッフも不足している。
ドイツのルフトハンザ航空は、スタッフ不足により7月に数百便のフライトを取り消す。このほか、イギリスのEasyJetを始め航空会社各社は、空港の混雑緩和に向けて、旅客が集中する週末の便の欠航を発表している。
このような状況に追い打ちをかける可能性があるのが、機内スタッフによるストライキである。EasyJetやスペインのRyanairの客室乗務員は、7月にストライキを実施すると発表済みだ。このほか、ルフトハンザ航空やイギリスのBritish Airwaysでもストライキの可能性があると報道されている。
なぜここまで人手が不足したのか

空港のスタッフの不足は今に始まったことではなく、このようなカオスな状況は予測されていた。5月初旬にヨーロッパの各空港に対して行われたアンケートにおいて、3分の2の空港が、地上スタッフの不足によりフライトの遅延が発生することを懸念していたのである。
人手が不足する理由は大きくふたつある。ひとつ目は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う大幅な人員削減。ふたつ目は、新型コロナウイルスの感染者がここにきて増加していることだという。
ドイツにおいては、コロナ期間中に空港スタッフの5分の1が会社を去った。人数にして5500人ものスタッフが不足している。空港を去った労働者は、既により高給な仕事に就いており、戻ってくることはない。フォルカー・ウィッシング連邦交通デジタル大臣は、
「人事政策は、空港会社や航空会社の責任だ」
と、今回の航空業界における人手不足を非難している。
ちなみに、ウイーンのシュヴェヒャート空港は、新型コロナウイルス感染拡大時に賃金を下げて雇用を確保する操業短縮制度で人員削減を極力避けてきた。この施策により、現在感染拡大前の約80%の労働力を確保している。