無防備すぎる日本の「選挙カー」 今後は防弾ガラス必須か、安倍元首相銃撃を機に考える

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安倍晋三元内閣総理大臣が7月8日、銃弾に倒れた。このことから分かるのは日本の選挙運動における安全性の低さだ。

筆者が感じた選挙セキュリティーの難しさ

選挙ポスターの掲示板(画像:写真AC)
選挙ポスターの掲示板(画像:写真AC)

 冒頭に触れた通り、安倍元首相が奈良県の近鉄大和西大寺駅前で選挙演説中に銃撃された。背中から2発、警備上の問題はともかく、防弾チョッキがあれば助かったかもしれない。

 以前、立川駅で首相から大臣までそろった街頭演説を見かけた。警備の警察官や私服警察、SPなど大勢いたが、女性閣僚もスーツ姿で、明らかに厚い装備をしている様子はなかった。もちろん選挙カーは防弾ガラスで囲われておらず、高層ビルや駅前デッキのあらゆる場所から「狙えた」状況だった。

 聴衆は大量のスマホを向けている。報道関係者でない一般人と思わしき人たちも珍しいからか、バズーカのような望遠レンズを向けていた。そもそもマスク姿で誰が誰だかわからない。政治家は、そんな状態でも聴衆の前に立てるほどの度胸がなければできないのかもしれないが、前述の元衆議院議員が話すとおり、そばから見ているだけでも「大丈夫だろうか」と心配になった。そして今回、それは現実のものとなった。

 筆者も約20年前、ある著名政治家の選挙活動を手伝ったことがあるが、高田馬場駅前にその政治家が選挙カーから降りた瞬間、大変な群衆、特に若者たちの大集団に囲まれ、握手やらボディタッチ、携帯電話による写メで大混乱となった。筆者は

「こんなの守れない」

と思った。当時は、その政治家のスーツがしわくちゃになっただけで済んだが、もう時代は変わってしまった。

 選挙カーの騒音やらその効果の是非ばかりが話題となるが、政治家や候補者を守るための対応も必要ではないか。選挙カーも含め、日本の選挙活動は今回の歴史的事件をもって、いよいよ転換すべき時に来ている。

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