MaaSだけじゃない! 鉄道会社の相次ぐ「異業種参入」 今後注目2つの事業とは
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鉄道会社の異業種参入が活発化している。シェアオフィスの拡充、シームレスな交通サービスの構築を目指すMaaSビジネスへの進出が顕著だ。
今後考えられる異業種参入とは

これまで述べたとおり、鉄道各社の異業種参入は多様化しているが、今後もこの変化はとどまることはないだろう。
そこで、今後考えられる鉄道会社による新たな異業種参入の例として、2021年11月に施行された
・金融サービス仲介業
2020年に政府が目標として掲げたカーボンニュートラルに関わる
・EV充電事業
というふたつのテーマについて考察する。
まず、鉄道会社が金融サービス仲介業を活用する上では、鉄道会社の最大の強みである顧客の生活動線上の接点(駅や百貨店、商業施設などの不動産)を活用した「対面型サービス」と、鉄道会社が保有するEC・スマホアプリなどを利用した「非対面型サービス」の両面からのアプローチが肝要だ。
例えば、自社で金融サービス仲介業に参入するケースとして、沿線の駅構内や百貨店、商業施設内へ金融商品販売の営業店舗を拡充し、さらに補完的な位置づけとしてインターネット上での金融サービスも展開するというアプローチなどが考えられる。
次に、EV充電スポットの設置・運営に加えて、自ら電力事業も手掛けてスマート充電(充電タイミングや充電速度など充電セッションを制御して行われるEV充電)を行うEV充電事業においては、鉄道会社が持つ「駅」の活用による充電スポットの稼働率確保や、他業界に比べて大きな電力需要を生かした電力一括調達による調達電力コストの抑制が可能になることから、鉄道会社には十分に商機があると考える(図)。
このように、鉄道会社は沿線顧客に係るさまざまなアセットを生かしながら、今回取り上げた事例にとどまらず、今後多様な分野への事業展開をさらに進めていくだろう。