日本製なのに国内未発売! アメリカで圧倒的人気を誇った伝説バイク「HODAKA」をご存じか
「HODAKA」という日本製モーターサイクルをご存じだろうか。北米市場で高い人気を獲得しながらも、日本では販売されずほとんど知られなかった伝説のメーカーである。
取引先が撤退、廃業危機を米商社が救う
当初の取扱品は朝鮮戦争特需の好景気の中で急激に需要が増していたモーターサイクルや小型自動車向けのトランスミッション製造であり、ほどなくしてモーターサイクル用の2ストロークサイクル単気筒エンジンの製造にも着手。
戦後に躍進したモーターサイクルメーカーである山口自転車やトヨモータース、北川自動車などに対する、重要なコンポーネント供給メーカーとして躍進を続けることとなる。
一方、日本における1950年代のモーターサイクルブームは、国内に150社もの中小メーカーが乱立するという現象を産み出したものの、1960年頃にはブームの終焉(しゅうえん)とメーカーの淘汰(とうた)が始まり、弱小メーカーは続々と業界から撤退していくことを余儀なくされた。
穂高工業所にとって最大の顧客だった山口自転車は、そうした状況の中でも健闘を見せたが、1963年に至ってモーターサイクル事業からの撤退を発表、穂高工業所は最盛期で総売上高の70%を占めていた顧客を失うこととなる。
こうした状況の中、穂高工業所に救いの手を伸ばしたのは、意外にもアメリカの商社だった。
山口自転車のモーターサイクルを独占的に北米市場に輸入していたPABATCO(パシフィック・ベイシン・トレーディング・カンパニー)は、失った供給先をカバーするために穂高工業所にモーターサイクルの完成車を製造することを進言。
当初は逡巡していた穂高工業所側も、PABATCOの熱心な働きかけで完成車の製造を決心することとなった。